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  • 森 顕子

積極的「留年」のススメ




 日本の教育は、年齢によって学年が決められて、授業は教室での一斉授業が主流です。ですから「習得度」には差が生まれます。同じ教え方をしているのに十分理解できる子どもとそうでない子がいるのはみなさんもご承知のとおりです。それを解消するために、数学や英語の時間だけ「習得度クラス」という特別なクラス編成をして授業をするというやり方をとっている学校があります。これで問題は解決されるように思われるのですが、十分ではないような気がします。


 まず新しい単元については、上のクラスは応用問題までやり、下のクラスは基礎問題どまりということになると思われますが、仮に下のクラスでは、「復習」に力を入れたとすると、時間が足りなくなり、学年相当レベルに追いつくのは難しくなるでしょう。


 例えば、連立方程式を学習する際、まず1次方程式が理解できていなければ、そもそも内容理解ができません。小学校卒業の段階で、少なくとも+(プラス)の世界での四則演算がある程度できなければ、中1での±(プラス・マイナス)の四則演算ができるはずもなく、その子たちは1次方程式が解けるようになりません。(もちろん超基礎的な問題は除きます)ということは、そのような子どもたちが数学で「学年相当レベル」になるのはかなりの時間が必要となります。ましてや、彼らにはサポートなしでの家庭学習は期待できないかもしれません。学校での学習がすべてではとても追いつけません。上のクラスとの「差」は一向に埋まらないばかりか、広がっていき、クラスが固定化されていきます。さらにその「下のクラス」の中でも「できる子」と「できない子」に分かれていくはずです。そうなれば「学年や年齢」によってクラスを設定することに、そもそも無理があるのではないかと思うのです。


 ましてや外国からきた子どもたちにとっては、国によって年齢による学習内容が違いますから、そこに日本の基準は当てはまらないでしょう。外国では制度として留年が認められているところもあります。その子の理解度に合わせ、遅れてしまった部分を補えるような学校システムにできないものでしょうか。そして、もちろん彼らにはレベルに合わせた日本語教育も必要です。


 中学までの学習内容を理解できていないのに、「卒業証書」だけもらってもそれは本当の意味での自己肯定感にはつながらず、もう一度学び直したいと思っても、そのような学校はまだまだ少ないのが現状です。


 そこで、あくまでも私個人の意見ですが、積極的留年のススメとしての「グレード制」を取り入れてはどうかと思うのです。学年や年齢にとらわれず、つまづいたところに戻って学び直しができる環境を整えてあげることで、日本人も外国にルーツのある子どもも同様にストレスがなくなるのではないでしょうか。もちろん、優秀な子どもについてもグレード制を取り入れることで、「できること」「わかっていること」を何度もさせるような無駄を省くことができます。県内には、ある教科については、高校入学後にも関わらず、中1の内容から始めるという学校もあると聞きます。同じような流れで大学進学も考えられているとするならば、「学校の無償化」より重要なことがあるような気がしてなりません。必要な「生きるチカラ」は「学歴」ではなく自分は何がしたくて何ができるのかと同時に何が嫌いで苦手なのかがわかることではないでしょうか。それが「キャリア教育」にもつながることになるでしょう。グレード制にすることで、「数学ができない」ではなく、「プラス・マイナスを含む四則演算ができる」とか「英語を使って、日常会話ができる」とかいう評価を重ねていくことができます。18歳までの間に、子どもたちが多様なプログラムから自分がやってみたいことを選択し、得意なことやできること、喜びを感じられることなどを理解したうえで、自信をつけ、職業選択につなげていくことが、未来の可能性を広げることになるのではないかと思いますが‥‥やはりこれは私個人の夢物語なのでしょうかね(笑)

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