まず自分が子どもを認めなければ、信頼は得られない。



 新年度がスタートしました。新しい子どもを迎え、プラエドの新人、つまり経験の浅い教師たちは毎日奮闘しています。その中で、今回はプラエドの指導において、とても重要だと思うことについてお話したいと思います。


 プラエドで日本語指導を受ける子どもたちは、その70%が日本語ゼロの状態です。そして彼らは決して「日本語を学ぶために」来日したわけではなく、保護者の都合により、住み慣れた国を離れ、友達と別れ、異国での生活を強いられます。そして彼らは日本の公立学校に通うために、保護者以上に日本語習得が必須となります。彼らには、はじめから困難の壁が立ちはだかり、不安でいっぱいです。ですから、プラス・エデュケートの指導初日が非常に大切であることは、以前のコラムでお伝えした通りです。

==> 「最初の日本人」=「私」である責任 (plus-educate.org)


 そんな子どもたちを日本語学習に意欲的に向かわせるための工夫は、プラエド独自のカリキュラムや教材に反映されていますが、それだけでは十分ではありません。相手は子どもです。やはり、教師の働き掛けによってやる気にもなるし、それがないと、モチベーション低下を招くことにもなります。その大きな要素が「褒める」という行為です。みなさんも実践されているでしょうか。


 基本的に、「いいね」「すごいね」「きれいに書けたね」「がんばったね」などという言葉で褒めるのは、それほど難しくないかもしれません。しかし、そのような言葉だけでなく「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」という考え方に基づき、ジェスチャーやサイン、うなずき、声のトーンなど様々なものを使うことが必要です。それも、はじめのうちは大げさかな?と思うほど、やりすぎかな?と思うほど、多用してください。(笑)


 教師は明るく、はきはきと、すこし高めのトーンで、「いいね!そうだね!」と体全体を使って表現することで教室が「明るい雰囲気」になっていきます。子どもたちの不安を払しょくし、自分もできるかも?と思わせ、できたら瞬時に褒める。そのことを繰り返すことで子どもは、授業へ積極的に参加するようになっていきます。


 そのうち、子どもができることが増えてきたら、今度は彼らにとって少し負荷がかかるものを課題として、それを乗り越えさせたときに、それまでの頑張りを認め、褒めてあげます。この頑張りを認めるということがポイントです。よく観察し、自分だけが知っているというようなポイントを発見できれば、さらに良いですね。具体的には、合格点に達していないけれども、以前はここまでしかできなかったのが、ここまでできるようになったとかいう子どもの成長や変化を認めてあげることです。ちなみに、テストを行うときには、注意してほしいことがありますので、その内容は以前のコラム(「テストでやる気に火をつけるのだ」)をご覧ください。

==> 「テスト」で、子どものやる気に火をつけるのだ!! (plus-educate.org)


 次に褒める上等テクニックとして、「他人の口を通して褒めてもらう」ということがあります。毎日接している教師が褒めることも、続けていくうちに習慣化してくる場合があります。そんなとき、本人だけでなく、他の先生や保護者に伝えて、その人たちから、「○○先生から聞いたよ、あなた、この前ひらがなテスト合格したんだってね。とても頑張っていて、きれいに字も書けるんだって、嬉しそうに○○先生が話してたよ」と言ってもらうのです。そうすると子どもは、自分のよい評価を別の人にも伝えてくれたと、うれしく感じ、その教師に感謝することでしょう。そして、その教師のことがもっと好きになるはずです。そしてその効果は、保護者にも表れます。

 

 日本の学校にありがちなこととして、「子どもの問題(悪いこと)」を改善してもらうために、保護者に連絡を取ることが多いと思うのですが、学校からの電話は、いつも悪い報告ばかりだとしたら、その電話に積極的に出たいと思うでしょうか。一方で、忙しい毎日の中で、なかなか子どもの変化や頑張りに気が付いてあげられない自分に、先生から子どもを褒める連絡があったという経験をすれば、学校からの電話にも出てくれるのではないかと思います。


 実際、プラエドと保護者との信頼関係は、強い方だと思いますし、家庭と本人との信頼関係を築くことができれば、今度は叱るという場面においても、効果を発揮します。子どもは、自分のことを認めてくれている人、そして自分が信頼している人からの叱責は聞きますが、そうでなければ、全く聞く耳を持ちませんからね。褒めることと叱ることは表裏一体です。叱るときの注意については、また別の機会にお話しすることにしましょう。まずは子どもとの信頼関係を築くこと、そのために子どもを認め、褒めてあげること、これを実践してほしいものです。

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